施工管理技士の施工管理ってどんな仕事なの?
バリケードや鋼板で囲われた工事現場。
中で何をしているのか気になったことはありませんか?
中では色々な人が工事にかかわる作業をしています。
その中の1人である施工管理技士。
工事現場の中で具体的にどのような事をする人なのでしょうか?
この記事では施工管理技士の仕事内容を解説していきます。
もっと具体的に日々の作業を知りたい方はこちら。
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施工管理技士の仕事内容
主な仕事内容は工事によって目的物を作る上での管理を行うことです。
具体的に管理とは:目的物を作る上での、安全・工程、品質向上等の管理を指します。
それに加え、発注者との細かい会議や下請けさんとの打ち合わせを行い、工事の進め方や順序もまとめます。
そのほか警察との協議や役所の担当との打合わせ等、関係各所の手続きも仕事内容に当たります。
仕事内容は多岐にわたるので全ては上げきれませんが…工事全体を把握して潤滑に、安全に、品質の良いものを作り出す準備をする人…つまり簡潔に言うなら、「工事全体の責任者であり、決定権を持つ人」となります。
それでは「目的物を作る上で欠かせない管理」の仕方について各項目別に見てみましょう。
安全管理
安全管理は工事中の安全について管理します。
言い換えれば事故が起こらないように管理(チェック)を行います。
例えば
崖に設置されている落下防止柵を例に挙げてみましょう。
崖に落下防止柵がないと落下するリスクは大きくなりますよね。
柵を作るためにはない状態から作るので作業中は常に落下の危険性が付きまとう訳です。
つまり、落下防止柵を作るために「落下しない設備に不備等が無いか」などを確認したり、「安全設備を設置する段階」を計画したりするのが安全管理です。
建設業は重大な事故につながる率が高いので、安全に関して法律で各作業ごとに細かいところまで決められています。
「法律で決められているから」というのもありますが、施工管理技士は安全管理として「現場で働く人に法令違反がないか」と「不安全な行動や状態の有無」を確認するのが仕事のひとつです。
次に各作業別ではなくどんな現場で必須で行う、法律で決められていることの具体例を挙げてみると以下のようなものがあります。
➡場所と資料を準備して各月ごとに該当する人を集めて安全訓練や講習等を行います。
例2:毎日の仕事内容や危険個所を共有すること。
➡毎朝仕事始めにその日の作用内容と危険個所の説明等を行います。
その後、作業ごとに分かれて全員で共有出来ているかを確認します。
これもあくまでも一例で「こんなところまで決められているの?」ってくらい細かく法律で決められています。
先ほどの落下防止柵の例でも挙げましたが、安全管理は事故が起こらないように事前の計画と計画通りに進んでいるかのチェックが大切です。
ココがpoint!安全管理は事故が起こることを想定した対策を行う
工程管理
工程管理は工事の期間の進み具合と、進め方を管理することです。
工事には「進めていく順番」と「工期(納品日)」があります。
例えば
2階建ての建物を作るのに1階から作らなければ2階は作れませんよね。
同じように作業の進め方や機械の搬入時期等には順番があり、決められた工期を守る道しるべとなる工程表を考え、策定することも仕事内容のひとつです。
工程管理の具体的な方法としては以下のようなものがあります。
例2:1日の作業計画をタイムスケジュール化して遅れがないか確認する。
例3:先行作業が終わらないと次にの作業に進めない作業を重点作業としてピックアップし、逆算して前後の作業を組み立てる。
工事は必ずと言っていいほど問題が生じるので程よく余裕を待たせた工程を考えると良いものです。
ココがpoint!工程管理は詰めすぎると無理が生じるのである程度の予備も想定する
品質管理
品質管理は目的物を造った作った後に強度や天候耐性が損なわれないように、工事中に材料の品質を確認することです。
目的物は強度や耐劣化年数など一定の基準が設けられています。
例えば
壁を作ったとして人が寄り掛かったくらいで壊れる壁では困りますよね。
材料のチェックや作った物の規格値(厚みや幅などその他)をチェックして品質を確保するのも仕事のひとつです。
出来上がると基準の確認が取れなくなるものは写真に撮って記録します。
ココがpoint!品質管理は写真の有無が重要となる
原価管理
どんな業種も同じと思いますが支出を抑え、収入を増やす見積もりや交渉によってより利益を残すように努めるものです。
働く人の賃金も考慮に入れるので日々の管理も必要です。
請求書が来た時に請求書の内容が正確かどうか把握していなければ工事を進めていくことは出来ません。
事故がなく良い品質のものが工期内に出来上がった。
けれど赤字だった、ではどうでしょうか?
利益ばかり追うのもどうかと思いますが
どんな人も生活の為に働いているのです。
赤字で自分たちの給料も出ないのでは「工事をしない方がよかった」なんて事になってしまいます。
ココがpoint!原価管理は収入と支出を把握していることが欠かせない
環境対策
環境対策は工事によって生じる、環境へ影響に対して対策を練ることです。
工事を行うと少なからず周囲の環境に影響を及ぼすことになります。
しっかりとした準備、対策をして工事を進めていきます。
主に以下のような環境対策が必要です。
周辺環境:騒音・振動・粉塵・排ガスなど。工事現場の沿道や近隣の方への影響を対策します。
職場環境:作業員の働きやすいように整備するなど。夏の炎天下や寒冷地など働く人への影響を対策します。
工事をしているとどうしても普段聞きなれないような音が出してしまったり、道路を汚してしまったりするものです。
そのため第三者の目線で考える必要があります。
ココがpoint!環境対策は工事関係者じゃない目線で見るのが大切
施工計画
施工計画は工事を始める前にどうやって工事を進めるかの計画を練ることです。
工事は作るものや作る場所近隣の状況等によって施工性、条件が変わります。
やりやすいところもあれば狭くてやりにくいなど様々です。
工事を始める前に計画を練って発注者に計画書を提示します。
発注者と工期の内容、品質の条件、金額など相違が無いか確認して、後々「こうじゃないつもりだった」なんて争いを回避する部分も含んでいます。
・工事の概要(工事内容・数量)
・主要な材料と機械
・安全管理の方法
・工程管理について
・品質管理の基準と頻度
・環境対策の計画
…その他(一部省略します)
しっかりした計画無くして「安全に」「工期内に」「いいもの」を作ることは出来ません。
始まる前の段取りとして1番重要な部分で細かいところまで計画を練ることが大切です。
施工管理技士になるためには?
次に施工管理技士になる方法を説明します。
工事現場にいれば誰でも施工管理技士として、現場の責任者になれるわけではありません。
施工管理技士になるためには年に1度行われる資格試験に合格することが必要です。
資格試験は第1検定と第2検定に分かれており、第1検定がマークシート試験、第2検定が記述試験となっています。
それともうひとつ、施工管理技士は種類があり、行われる工事に適した資格を受験することも欠かせません。
では順を追って施工管理技士になる方法を見てみましょう。
施工管理技士の種類
施工管理技士は作るものの内容によって建築・土木・管工事・電気工事・電気通信工事・造園・建設機械(施工技士)の7種類があります。
各施工管理技士になるためにはそれぞれ別に国家資格に合格する必要があります。
各7種類の詳細については別記事を参照してください。
建築施工管理技士の詳細
土木施工管理技士の詳細
管工事施工管理技士の詳細
電気工事施工管理技士の詳細
電気通信工事施工管理技士の詳細
造園施工管理技士の詳細
建設機械施工技士の詳細
施工管理技士の受験資格
2級の試験は制度が緩和され、17歳以上であれば誰でも第1検定(学科試験)の受験が可能になりましたが、2級の第2検定(記述試験)と1級の試験には工事に従事した実務経験が受験資格として必要となります。
このサイトでは2級土木、1級土木、2級造園、1級造園について記事を書いています。
詳細は各記事を参照してください。
合わせて読みたい2級土木の受験資格を詳しく見る
合わせて読みたい1級土木の受験資格を詳しく見る
合わせて読みたい2級造園の受験資格を詳しく見る
合わせて読みたい1級造園の受験資格を詳しく見る
施工管理技士の試験対策(勉強方法など)
試験問題には出題の傾向があります。
また、記述式問題は自身の経験について作文問題もあります。
全く対策をしないで合格することは難しいので、出題傾向を踏まえた勉強方法と作文の例を作りましたので合わせて参考にしてもらえれば幸いです。
ここでは2級土木、1級土木、2級造園、1級造園の4種類を別記事で解説しています。
詳細は各記事を参考にしてください。
合わせて読みたい2級土木の試験対策(勉強方法)を詳しく見る
合わせて読みたい1級土木の試験対策(勉強方法)を詳しく見る
合わせて読みたい2級造園の試験対策(勉強方法)を詳しく見る
合わせて読みたい1級造園の試験対策(勉強方法)を詳しく見る
変更点(新しい資格、技士補について)
先ほども簡単に述べましたが、令和3年度から「技士補」がとういう新しい資格が追加になりました。
加えて第1検定(学科試験)で出題されていた出題項目が第2検定(実地試験)に移動するなど試験方法が一部変更になりました。
詳細は下記記事を参照してください。
合わせて読みたい令和3年度より変更になった点を詳しく見る
まとめ
今回の記事の内容のまとめ
施工管理技士の仕事内容は
①安全
②工程
③品質
④原価
⑤環境
⓺施工計画
を考えながら工事を円滑に進めて仕上げることの説明をしました。
また、施工管理技士になるためには
①国家試験を受験する
②工事の種類を確認する
③受験資格を確認する
④試験対策をする
ことで施工管理技士になる必要事項を説明しました。
施工管理技士は担当する工事の決定権を持ちますが、同時に責任も大きいです。
仕事内容は多岐に渡り、管理項目も多く大変な仕事です。
しかし目的物が出来上がったときに得られる達成感はたまらないものです。
最後に施工管理技士になった人への簡単なアドバイス的な話で終わろうと思います。
優れた技術者になるために
なにをもって優れた技術者とするのか色々な意見があると思いますが、ここでは「公共工事の表彰」という点で見ていきます。
筆者の紹介一応、筆者は以下のような経歴があります。
・優秀技術者として地方自治体に表彰されたことがある
・若い子の現場を補佐して、会社を優良企業として地方自治体に表彰されたことがある
鼻に掛けるつもりはないのですが、きちんと工事をまとめ、発注者(地方自治体)に評価して頂けたことは嬉しく思っています。
それはさておき、優れた技術者になるための結論を言うと経験による部分が大きいです。
幅5mの二車線の道路を100m作ってその道路の両端に側溝を作る工事があった場合:大まかな日数とかかる金額をつかめる感覚やそれを工期内に仕上げる管理事故を起こさないことも重要です。
※役所の担当と何気ない話から追加工事の話が出たりします。
また、近隣の方からクレームがない等も高得点につながっていきます。
これらは資格を持っているだけでは身につかない感覚です。
また工事を進めていくと問題は必ず出てきます。
単純に初めから契約した内容の工事の部分について金額や日数を計算して設計書通りに進めることだけでなく生じた問題をどう処理するかを「決める能力」と「采配」を普段から鍛えていくことがよいよい技術者への道となるでしょう。
もう一度言いますが、工事での物つくりは出来上がった時の達成感がたまらないものです。
あなたも現場を管理して地図に残るものを作ってみませんか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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